ジョン・クレイマンと鼠駆除。

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その頃、ジョンは部屋に戻る囚人達を掻き分けながら階段を昇っていた。 「アルフ…!!」 鼠駆除を敢行したショーンへの怒りは消え、今はただアルフ達の無事を願う。 「もうちょっと早く歩いてよ…!!」 のろのろと歩く囚人達にジョンの焦りがピークに達した時、彼の腕を誰かが掴んだ。 「ジョンちゃん、落ち着いて!!」 「邪魔しないでくれよジャスミン!!アルフ達が…。」 必死に腕を振り解こうとするジョン。 「アルフちゃん達は無事よ!!」 「ぇ?」 ジャスミンは掴んでいた腕を離すと、今度は優しくジョンの肩に手を掛けた。 「…アルフちゃん達は生きてる。マルクが助けてくれたらしいわ。」 ジョンはまだ状況が理解できていない様子で、ジャスミンを見つめる。 「でも、彼は見て見ぬ振りをしてくれただけ。本当の意味で彼らを助けたのはジョンちゃん…あなたよ。」 「あ、アルフ…。」 口をアワアワと動かすジョンの姿を見つめながら微笑むジャスミン。 「さぁ、胸張ってアルフちゃん達に会ってきな!!」 ジャスミンに強く背中を叩かれたジョンは一瞬痛そうな顔をしたが、すぐに笑顔になると頷いた。 「恩に着るよ、ジャスミン…!!」 ジャスミンに手を振りながら走り出したジョンは曲がり角の壁に激突したが、すぐに起き上がると自分の部屋へ駆けていった。 「あぁ…私もあんな風に愛されてみたいわ…。」 そう呟いたジャスミンの発言に周囲の囚人は猛烈な勢いで後ずさった。
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