2 伝 説

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  『そう、現れたその女性は口裂け女だったのです。  少年は、あまりの怖さと驚きに飴を落としてしまいました。  そして、口裂け女はニヤリと笑って、言葉を繰り返しました。 「わたし……きれい? ねぇ……わたし……きれい?」  少年は後退りするように、一歩引きました。  怖さのあまり、足が竦んでいて逃げることも難しい状態です。  口裂け女は、ニヤニヤ笑いながら大きな口で繰り返しています。 「ねぇ……わたし……きれい……?」  悲鳴すらも出せない少年。  立っているのもつらくなっていました。 「きれい? きれい?」  ついに少年は、倒れるように座り込んでしまいました。  その時、少年のポケットからはまだ舐めてない飴が落ちました。  少年は「もうどうにでもなれ」という気持ちで、とっさにその飴を口裂け女に投げました。  するとどうでしょう。  口裂け女が飴を凝視して止まっているのです。  少年は唖然としながらも、チャンスとばかりにフラフラとその場から逃げ出しました。 「はぁ……はぁ……」  追ってくる足音はなく、トンネルを抜けました。  ふと振り返り、トンネルの中を覗くと、もうそこには口裂け女の姿はありませんでした。  少年はホッとして、再び倒れ込みました。  体中から嫌な汗が流れ出ていて、しばらくは自力で動くことができなかったそうです……』  
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