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「お父さんは、病院に行ったよ」
少しずつ、満は落ち着いてきた。
「満…、病院行く?」
満は首を縦に振った。
家の戸締まりを確認して、
あたし達は病院に向かった。
歩いて約10分…。
多分、国立病院に
母は運ばれたに違いない。
受付で母の運ばれた治療室を聞き、
満と一緒に向かった。
「お姉ちゃん…、
お母さんは死んでないよね…?」
満は心配そうに聞いてきた。
あたしは無言で満の手を強く握った。
母が運ばれてきた治療室の前に
着くと、父が椅子に座っていた。
「お父さん…!お母さんは!?」
満はあたしと繋いでいる手を
離して父の元に向かった。
「満…早恵…。母さんは……!」
父の目から涙が溢れ出してきた。
「死んでしまったよ……!!!」
母の死は心不全。
母は至って健康だった。
だから何故、
心不全が起こったのかは原因不明だ…。
そう……
これが悲劇の始まり。
まだ序章に過ぎない…。
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