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居心地の良いこのお店にまだいたいと思ったけど、さすがにそろそろ帰らないと。
静かに席を立ち、「いくらですか?」と言いながらドアの近くにあるレジまで行く。
でも彼女は「一回目のお客様はサービスです」と言って、お金を受け取ろうとはしなかった。
いいのかな…マスターとかに怒られたりしないかな。
心配になり聞いてみると、マスターは彼女だと言う。
これには驚きを隠せなかった。
「ありがとうございました」
─チリン
私はまた看板を見る。
『ーTENDERLYー』…入った時と今じゃ、全然違う。
入ってよかった。
心からそう思う。
出る前に言ってあの言葉…なんなんだろう?
あの子ってすごいなぁ。
なんでも知ってるって感じ。
でもあの子が言うならきっとそうなんだろう。
お店の名前を忘れないよう頭に刻む。
さ、帰ろう。
次の日本当に起きる『いいこと』を、私はまだ知らない。
――*―――*―*―
悲しい時。
辛い時。
切ない時。
-TENDERLY-に、来てみてください。
私はいつでもあなたをお待ちしています。
―*――――*―*―
●に・終わり●
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