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まぁ、最初にため息ついてたんだから分かるか。
─…Noだった。
で、現在に至ると。
「あーもう、何やってんだろ…」
頭の中の言葉をつい口に出してしまう。
せっかく同じクラスになれたっていうのに、わざわざ自分からチャンス潰したりして。
でも、一年の時もそこそこ仲良かったから…いけると思ったのも事実なんだ。
なのにそれで関係壊したら意味ないっつーの…。
─チリン
悩んでる頭に、ひとつの音が入ってきた。
綺麗な…鈴の、音。
どこから聞こえてきたのか、何故か気になってしまい辺りを見回す。
…と、そこでやっと気付いた。
「ここ…どこだ?」
はぁ…自分でも呆れるよ、もう一年も通う道なのに迷うなんて。
てか気付かないなんて。
そんなに周りが分からなくなるくらい落ち込んでたのかな…。
住宅街の裏の方なのか、あんまり目立ったものはない。
桜の木が疎らに、でも綺麗にたち並んでいる。
…その中にあるひとつの建物が目に入った。
場に不似合いなはずのアンティークな感じの建物なのに、住宅街ということを感じさせず風景に溶け込んでいる。
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