いち

3/8
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
まぁ、最初にため息ついてたんだから分かるか。   ─…Noだった。   で、現在に至ると。             「あーもう、何やってんだろ…」       頭の中の言葉をつい口に出してしまう。 せっかく同じクラスになれたっていうのに、わざわざ自分からチャンス潰したりして。 でも、一年の時もそこそこ仲良かったから…いけると思ったのも事実なんだ。 なのにそれで関係壊したら意味ないっつーの…。     ─チリン     悩んでる頭に、ひとつの音が入ってきた。 綺麗な…鈴の、音。 どこから聞こえてきたのか、何故か気になってしまい辺りを見回す。 …と、そこでやっと気付いた。       「ここ…どこだ?」       はぁ…自分でも呆れるよ、もう一年も通う道なのに迷うなんて。 てか気付かないなんて。 そんなに周りが分からなくなるくらい落ち込んでたのかな…。   住宅街の裏の方なのか、あんまり目立ったものはない。 桜の木が疎らに、でも綺麗にたち並んでいる。 …その中にあるひとつの建物が目に入った。   場に不似合いなはずのアンティークな感じの建物なのに、住宅街ということを感じさせず風景に溶け込んでいる。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!