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あれは店…みたいだ。
造りからして家なはずはない。
なんて言うか、普段絶対入らないような場所だ…ていうかどっちかっていうと女の子が好むような所だろうし。
そう思ったのに、何故だか足がその店の方へと進んで行く。
花びらに…誘われるように。
ゆっくりと、ドアを引いた。
─チリン
中に入ると、さっきも聞こえた鈴の音と共に落ち着いた声がした。
…外観のイメージを、内装も裏切らない。
黒・こげ茶・白で色付けられ、所々に邪魔にならない大きさの花が飾られている。
僕にはよく分からないけど、そこら辺にある店より全然おしゃれだと思う。
「いらっしゃいませ」
その声がした方をみると、この店の制服なのか昔のヨーロッパを思わせる格好でこっちに歩いてくる女の子がいた。
スカートではなくてズボンなんだけど…なんかマスターって感じ。
年は僕より上に見える。
ゆるいウェーブのかかった長い黒髪を右でまとめていて、大人っぽい雰囲気だがまだどこか幼さも抜けきれていない感じだ。
「こちらへどうぞ」と言いながら僕を窓際の二人席に案内する。
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