いち

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    あれは店…みたいだ。 造りからして家なはずはない。 なんて言うか、普段絶対入らないような場所だ…ていうかどっちかっていうと女の子が好むような所だろうし。   そう思ったのに、何故だか足がその店の方へと進んで行く。 花びらに…誘われるように。   ゆっくりと、ドアを引いた。     ─チリン     中に入ると、さっきも聞こえた鈴の音と共に落ち着いた声がした。 …外観のイメージを、内装も裏切らない。 黒・こげ茶・白で色付けられ、所々に邪魔にならない大きさの花が飾られている。 僕にはよく分からないけど、そこら辺にある店より全然おしゃれだと思う。       「いらっしゃいませ」       その声がした方をみると、この店の制服なのか昔のヨーロッパを思わせる格好でこっちに歩いてくる女の子がいた。 スカートではなくてズボンなんだけど…なんかマスターって感じ。 年は僕より上に見える。 ゆるいウェーブのかかった長い黒髪を右でまとめていて、大人っぽい雰囲気だがまだどこか幼さも抜けきれていない感じだ。   「こちらへどうぞ」と言いながら僕を窓際の二人席に案内する。
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