復活ミニ小説

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~交差~TSUNAYOSHI 16 「おはよー綱吉」 『おはよ、姫』 朝の登校時刻。 蜂蜜色の髪が朝日に輝いてる彼を見つけ、あたしは走って肩を叩く。 「今日も可愛いね!」 『男に可愛いとか言わないでよ…』 柔らかく笑う綱吉は、本当に可愛くて綺麗。 「えへへ、ごめん。そういやリーダー予習やった?」 『あ!忘れてた!やばいなあ。今日俺当たりそう…』 「あたし京子に借りたも~ん♪」 『えっ!ズルッ!!』 京子という名前を、自分で言ってちょっと胸が痛くなる。 「貸してあげよっか?二限までに返してくれたらいいよ」 中学から一緒だから、綱吉が京子を好きなこと知ってる。 京子も綱吉が好きっぽいことも。 『うん!姫ありがとう!』 あたしは、トモダチとしか見られてない。 「あ!やっぱその次武に貸してあげて。貸す約束してたや」 『うん、…わかった』 この思いを伝えたら、きっと今の関係が崩れる。 だから、言わない。 やっぱり、山本と付き合ってるのかな…… 「あいつ予習しないからねー、っとに野球馬鹿」 並んで歩くことに慣れた頃、俺の心には彼女がいた。 でも彼女の心は俺にはなくて。 京子ちゃんに憧れてた気持ちとは違う、確かな気持ち。 『山本は野球やってるときが1番楽しそうだからね』 「たしかにー!」 いつも隣にいてくれて、 笑顔があったかくて、 芯がある。 好きだ、なんて言えない。 報われないのなら、 心地良いこの関係を壊してしまうことなんて出来ない。 「ま、今日も一日頑張りますか」 『うんっ』 二人の気持ちは、まだ重ならない… END
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