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「好きな人でもできたの?」
「それに近いかな」
僕は白状した。そして全てを話した。
こんなこと、風邪ひいてめいっている人に言うことじゃないだろう。
自分はどうしたらいいのだろう?
無責任にも僕は彼女に尋ねた。
「ハヤトの好きにすればいいと思う。ハヤトが幸せになれるなら、私はどっちでもいいよ」
きっと泣いてる。
直感で思った。
この子は優しい子だ。自分より他人を優先してしまう…
僕は正直に言ったことを半分ほっとし、半分後悔した。
「ハヤトが変わらずに話しかけてくれたら私はいつも話すよ」
でも、ハヤトに会わなかったら、私は一生ネット上の妹でしかないんだね。
そう、アカネは悲しそうに笑った。
次の日、アカネはいつもと変わらないそぶりで話してくれた。
一体、どんな気持ちなんだろう?
ネットにある心理テストをしたり、苗字の当てあいをしたりした。
アカネは感がいいようだ。
「画数多いんでしょ?
う~ん…藤が付くな」
「う、バレてる」
数分後、色々苗字を出した挙げ句に正解してしまった。
「なんか、青い空と緑の山が思い浮かぶ名前だね」
僕は思わず微笑んだ。
そんなこと言われたことはない。
でも、それはあながち間違ってはいなかった。
ハヤトという名前は当日海外転勤が多い父親が飛行機をイメージして付けた名前だったのだ。
もちろん、アカネはそれを知っているわけではなかったし、このときはそれを言わなかった。
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