君の存在

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数時間して、昨日のチャットを覗いてみた。 相変わらず待機してるのは男ばかりだ。 僕は無意識にアカネを探していた。   何度も何度もページを更新して、ようやく彼女を見つけた。 ログインしたばかりなのか、他の人と話していたのかはわからないが。   「よ!」 「あ、ハヤトさんこんばんは(^^)」   入った時間が遅かったためか、アカネはちょっとしか話せないと言っていた。 次の日は日曜で、遊びに行くらしい。 僕のほうは明日も仕事だ。あまり長くは起きていられない。シフト制の辛いところだ。   「明日は彼氏とデートか?」   僕がそう聞くと、タイピングが早いはずのアカネが黙りこんだ。 なにかまずいことを聞いたのだろうか?   「…ひかない?」   突然の発言に僕の頭の上には?マークが浮かんだ。 何がどうなんだろうか? 僕はひかないと言った。   「…私、彼氏いたことないんです」   ……は?   有り得ない答えだった。 もちろんひいたわけじゃない。 決して悪くない容姿の持ち主だ。 昨日今日と話していて、悪い子には思えない。意外だった。 アカネには男友達もいないらしい。 まぁ、なんとなくそんな感じはする。 要するに奥手のようだ。 なんだか可愛いなと思った。 なんというか、妹だったらめちゃくちゃ大事にしてやりたいタイプだ。   「ひかないよ、いいじゃないか。」   アカネはほっとした様子だった。   そんなちょとサプライズがあったが、短い時間を楽しく過ごした。 最終的に明日は友達と遊びに行くらしい。 アカネに悪い虫がつかなければいいなと思った。ちょっとした兄心のようなものだ。
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