悲哀と憎悪のクリスマスイヴ

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クリスマスイヴによる絶望感を、夕飯という楽しい気持ちに無理矢理変換しながら階段を下りる。 ホップ・ステップ・ジャンプでリビング兼食卓の扉の前へ。 扉を押しあけ中へ。 台所にいる主婦業真っ最中の母へ声をかける。 「母さん。今日の夕飯なに?」 料理に集中していた母が顔をあげる。 そして、オレを見るやいなやニィと微笑を浮かべた。 …すごい嫌な予感。 「あらーアキラ。 いいところに♪」 嫌な予感は嫌な確信に変わった。 「ちょっと頼みたいことがあるんだけどー。」 もちろん嫌だ。 けど、断ろうものなら包丁が飛んでくるやもしれん。 「…なに?」 諦め半分にオレは言った。 「お使い頼みたいんだ。」 こんなこったろうと思った。 「いいけど、何を買ってくれば?」 「んーと…」 母はそう言うと、手招きしてオレを近くまでこさせた。 そして、オレに一枚紙切れを渡した。 「なにこれ?」 「買い物リストよ。 それじゃ買ってきてね~♪」 ちょっと頼みたいことにしては用意周到だな。おい。 つか、『ちょっと』にしてはリストがびっしりってどういうことだ? あぁ…。 オレ不幸かな…。
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