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ただいまーと言いながら玄関のドアを開く。
只今のテンション、零地点突破。
つまりはマイナス。
玄関を上がる足取りは、重い。
オレの帰りを察知した母がリビング兼食卓から出てくる。
「おかえり~…って、えらい沈んでるけどどうしたのよ?なんかあったの?」
食材より日用品の方が多く入った買い物袋を、母に手渡しながらオレは言った。
「くりすますってなんだろう…?」
「はあ?何言ってんのよ。」
母は、結構真剣だったオレの問いを軽く流すと、夕飯もうすぐできるからねーと言ってリビング兼食卓へと消えていった。
冷たい母だ。
一旦2階の自室に戻りコートを脱ぐと、オレはリビング兼食卓へ歩みを進めた。
相変わらずのローテンションで。
夕飯は、クリスマスだからといって特別なわけではなく、至っていつも通りだった。
にもかかわらず、オレはほとんど食べられなかった。
「珍しいわね…。
アキラが残すなんて…。」
「うん…。」
オレもびっくり。
「ホントに調子悪いみたいね。
片づけは私がやっとくからもう寝なさい。」
「ごめん…そうする。」
オレは席を立ち、自室へ戻るため扉に手をかけた。
そのとき、思い出したように母がオレを呼び止めた。
「あ、そうそう。
アキラ、ちょっと待って。」
「ん?」
ゆっくりと振り返るオレ。
「このあとね、今日からしばらくウチに下宿する子が来るのよ。
急な話なんだけど、そゆことで。」
…………………ハァ?
……ハァッ!?
聞いてないぞ!?
どういうことだぁっ!?
「一応言っとくわね♪」
混乱するオレをよそに、母はそう告げてさっさと台所へ行き、洗い物を始めてしまった。
聞きたいことはたくさんあるが、頭か回らない。
とりあえず………寝よう。
オレは混乱する頭を抱え、自室がある2階へ向かった。
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