悲哀と憎悪のクリスマスイヴ

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(下宿人か…。) 2階への階段を登りながら母の言葉を思い出す。 (ホント急だよな…。) 素直な感想を述べる。 (それより、どんな人かな?) そして定番の疑問。 しばらく思案していると、不意に、ある人の姿が浮かんだ。 買い物帰りにすれ違った女の子。 が、その考えは一瞬で消滅した。 オレの極度のローテンションと、疲れのためである。 (そんな美味しい話、あるわけないよな~。) オレの部屋のドアを開け中へ。 「はぁ…」 溜息とともにベッドに倒れ込む。 そして思う。 クリスマスイブだってのにオレは孤独だな…。 ガキの頃、サンタが来るのが楽しみでウキウキしてたクリスマスイヴ。 今はただただ孤独を感じる。 (…サンタか。) 数年ぶりだがたまには頼ってみよう。 この孤独感は、オレに普段は思わないことを思わせる。 そして… 「もしサンタがいるなら、オレに彼女をください!」 仰向けに寝転がり、オレはその言葉を口にした。 結構本気な願いだった。
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