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外科医としてこの病院で働き出してからもう4年が経つ。
はじめは「動物たちが自分から勝手に診察を受けに来る」なんてことは信じてなかったけれど、それはこの病院ではまったく日常のことであり、今では毎日、虫垂炎のワオキツネザルやら、心臓疾患のスローロリスの手術をしている。
もちろん、患者の大半はニンゲンだ。
「自発的に診察を受けに来る動物」には当然のごとくニンゲンが含まれているというわけだ。
やっぱりニンゲンの方が診察はしやすい。なんてったってニンゲンには体毛があまりないから。
ところで僕は心臓の手術の最中にはいつも「心の在りか」を探している。
右心室を切開したり、大動脈を切断するとき、いったいどこに「心」ってやつが息を殺して潜んでいるのかって思う。
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