天敵 【翔】

2/17
195人が本棚に入れています
本棚に追加
/126ページ
俺たちが1年だったとき、ちょっと変わった男の先生がいた。 変わったっていうか…なんなんだろう…あれは… 一部の人には好かれるんだけど、一部の人には徹底的に嫌われる先生。 …って言ったらいいのか… とりあえずそういう先生がいて、俺たちのクラスの数学担当だった。 そこそこ若くて、でもちょっと親父臭くて、小綺麗にしていて、先生たちの中でも頭が良さそう。 顔がうさんくさい。 しゃべり方が見下した感じ。 授業中に冗談を言ってよくみんなを笑わす。 その冗談が面白いから好き、って人が多かった気がする。 俺は好きじゃなかった。 あんまり相手にされてなかったし。 それはありがたいんだけどね。 でもなんか好きじゃなかった。 いつもうるさい生徒指導の先生に対する『好きじゃない』とは違った嫌悪感があった。 存在自体が好きじゃなかった…というか、 俺自体が受け入れなかった。 消えて欲しいとさえ思った。 そしてその先生はたぶん無意識だろうけど、 犂を精神的に殺した。
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!