激-弐-

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そういって『はいっ』と差し出した。土方は眉を寄せながら見る。 新撰組の制服だ。 「……これ…」 『私が縫ったのは御利益があるんでしょう?』 ニッと笑って土方を見る。 つい、笑みが零れそれを受け取った。そしてその場ですぐに着ると身に着けた全ての防具の結び目を確認し、重たい兜などは外した。 「権助さん!」 「ここですよ。」 林は待ってましたとばかりに、ニコニコと笑って出てきた。 「奴ら、何かと考えてるみたいだ。永倉達の援護をするから一発ぶち込んでくれ。すぐに俺が斬り込みにかかる。そして間をおいたらまたすぐにぶち込んでくれるか」 「あいわかった。いやぁ、土方さんは戦場になると言葉遣いがお変わりになるなぁ。怖や怖や」 林なりの気の解し方なのだろうか、はっはっはっと笑って大砲の準備に行ってしまった。 『副長…そんなに外して…危ないですよ』 「走るなら身軽が一番なんだよ。いいか、ここを離れるな。日比谷といるんだぞ…市村!来い!!」 『…ご武運を……』 頭を下げると心配そうに背中を見送る。 土方の後ろには市村を始め、原田や新撰組馴染みの顔ぶれが揃っていた。皆、腕のたつものばかりだった。 「俺と市村は塀の上から行く。原田が先陣きって行ってくれ」 「上から指示を出すって事っスか」 「土方さん!準備調いましたよ!」 年寄りながら精一杯の声で土方に合図する。それを見て頷くと塀に上り戦場を眺めた。 「…真っすぐ行けばいい。永倉達とも合流できるはずだ」 「でもよぉ土方さん、新八達はこの作戦知らないんじゃあ…だとしたら敵と間違えて」 「知らなきゃ俺が行くなんて言わねぇよ」 得意げに笑うと真剣な顔で目を細めた。 ドーン!! 「新撰組走れ!!!」 その掛け声に土方、原田らは一斉に鬼神の如く走りだす。 姫乃はただ…駆られる思いに一人残された気持ちになって奉行所に戻っていった。 「もう少しだ!!」 正面の林に向かって駆ける永倉達。途中、白刃を振るい敵を退けていく。 「永倉!左に寄れ!!」 ドーン!!ドーン!! 塀から聞こえる土方の怒号に直ぐさま左に寄ると大砲の弾が薩長の陣に入っていった。 「ハァッ…ハァッ…!!土方さんっ、奴らかなり洋式の銃を導入してるみたいぜ…っ」 土方に叫びながら松林に永倉の隊が集まった。だいぶ走り続けたらしくかなり息が上がっている。
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