激-壱-

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自分を見ているような感じだったからだ。 「姫乃さん?早く治したいなら、薬を飲まなきゃいけませんよ??」 母親のように促すが、姫乃は何も答えなかった。しかし…。 『…沖田さんも中々飲みませんでしたよ…』 グサッ… まさかの痛恨の一言、返す言葉もなく苦い顔をしていた。 『……それに…薬飲んだら沖田さんお部屋に帰りますよね…??』 少し顔を出すと、泣きそうな顔で沖田を見た。そんな姫乃を見てクスッと笑った。 「心配しなくても、寝るまで居てあげますよ。今日は皆さんには控えるよう言ってますから、ゆっくりできますからね」 『…皆さん心配なさって』 「他の方々がいたら姫乃さん気を遣うでしょう?逆に体によくないですからね」 優しく頭を撫でる手から沖田の優しさを感じずにはいられない姫乃。しだいにうとうとしだす。 「ひ、姫乃さんっ…寝る前に薬ですよ」 『あ……』 体を起こそうとした時、沖田の腕が背中を支えた。そのまま膝に寄り掛かせられ、姫乃はキョトンとしていた。 「はい。口開けて下さい」 『…だ、大丈夫です!!一人で…!』 差し出される薬に、背中を支える腕、優しく微笑む沖田…何にどう驚いていいのか混乱する姫乃。沖田は苦笑いで答える。 「姫乃さん。風邪を引いた時くらい、私に甘えて下さいよ」 『………はい…』 沖田の笑みがどこか悲しげに感じる姫乃は、ほんのり赤くしながら了承した。 「はい、口開けて下さい」 目を閉じ口を開けると、サラサラと綺麗な音で滑って行く薬。 『…うっ…!』 「はいはい!お水」 そんな綺麗な音とは裏腹に苦味が口の中で広がる。姫乃は、涙目で薬と同様、苦い顔で添えてもらった水を飲み干していった。 「…よく頑張りました」 『が…頑張れました…』 ゆっくり姫乃を布団に戻す。そして当たり前の様に手を握った。 『…沖田さん…母に似てる』 「姫乃さんのお母さんに??」 クスクス笑う姫乃の言葉に顔を引き攣らせる沖田。 『小さい頃、私が怪我した時とかはこうやって手を握ってくれたんです』 嬉しそうに話す姫乃の小さい頃を想像してみた。 「…可愛い…」 『え?』 「い、いえ…!」 はっと気付き赤くなる。きっと今と昔、変わらない優しさで育ったのだろうと思った。 『沖田さん…。沖田さんの事聞きたいです』 「私の話し…ですか??」
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