激-弐-

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『……あれ…??』 姫乃は閉め忘れたかな…と考えながら、警戒して中に入りしっかりと鍵をかけた。 『良太郎さん、すみません遅く』 「姫乃ちゃ…っ…逃げ…ぐぁあ!!」 「…べらべら喋るな…」 我が目を疑った。 今、目の前で日比谷が斬られた。一瞬の出来事に姫乃は目を見開いて固まる事しかできない。 部屋は血に染まっていた。僅かな命を紡いでいた隊士の生気も感じない。 『…良太郎…さん……?!…皆さ…っ…』 「あんたで最後だよ。ありがとうな。ご丁寧に裏口開けてくれて」 冷酷に笑う敵を見ず、日比谷に駆け寄る。まだかろうじて息をしていた。 『…っ…良太郎さん…!!』 「…逃げ…るんだ…!君は生きて…沖田先生…に……」 グサッ…!!! 『…………』 「黙って死ぬって言葉を壬生浪は知らねぇようだな。黙って消えるのが武士だろ」 呆れたように日比谷を踏み付け最後のとどめを刺す。 『……けて……』 「あ…??」 『足を退けて!!!!』 ゆっくり足を退ける。 息をしていない日比谷をすぐに庇った。そして自分の着物の裾で血を拭ってあげようとした。が、首元を掴まれ軽々と持ち上げられた。 「…なんだよ…その目…」 姫乃は涙を流しながら蔑んだ目で睨む。 『…貴方は…武士なんかじゃない…!!』 「はぁあ??」 『私が知ってる武士は…優しくて照れ屋で、人の事茶化したりいつもニコニコ笑って…子供みたいに拗ねたりして…でも…“人”を斬る事はしませんでした…!!』 自分の首根を掴む相手の手をギュウッと握り、下唇を噛み締めた。 首根は掴んだまま姫乃を降ろす。 「…武士じゃねぇよ。そいつ。ただの小物じゃねぇか」 『いいえ…武士です…何もかも斬り伏せる貴方の方がよっぽど小物です!!』 …ドシュ…!! 『………え…』 ゆっくりお腹に視線を落とした。貫かれている。血が滴り落ち、ゆっくりと相手を見上げた。 「…武士の時代なんて終わるんだよ…」 勢いよく刺された刀を引き抜かれると、姫乃はまるで時間がゆっくりと流れるかのように膝をつき倒れた。 敵もいきなり背後から来た新撰組に驚いた。しかし、怯む事なく薩摩は得意の銃部隊を路上に突撃させ、乱射戦を展開し凄まじい白兵戦を起こした。 敵味方、ただ路上で戦った。
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