激-弐-

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しかし、周りがざわついているのに気付いた。 土方は立ち上がり、刀を腰に差した。永倉が駆け寄ってくる。 「土方さん…!!」 「……何?!逃げる!?戦は負けちゃいねぇだろ!!」 前日の戦闘に指揮官自らが先頭に立って切り込んだため、相次いで戦死していたのだ。中には、林権助もいた。 土方は退却の準備を始める自軍を食い止めるのに必死になった。怒鳴ったりしたが、京にあった中立を守っていた諸藩が「錦旗をあげる」という報せを受け、諦めざるを得なかった…。 「…大阪に…行くぞ…」 土方は小さく呟いた。 そして初めてのほぼ、負け戦に肩を落としてしまった。
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