2776人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、周りがざわついているのに気付いた。
土方は立ち上がり、刀を腰に差した。永倉が駆け寄ってくる。
「土方さん…!!」
「……何?!逃げる!?戦は負けちゃいねぇだろ!!」
前日の戦闘に指揮官自らが先頭に立って切り込んだため、相次いで戦死していたのだ。中には、林権助もいた。
土方は退却の準備を始める自軍を食い止めるのに必死になった。怒鳴ったりしたが、京にあった中立を守っていた諸藩が「錦旗をあげる」という報せを受け、諦めざるを得なかった…。
「…大阪に…行くぞ…」
土方は小さく呟いた。
そして初めてのほぼ、負け戦に肩を落としてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!