逃走

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レジの下に隠れながら、音だけで周りの状況を察知していた。 ザッ……ザッ……ザッ…… 確実に俺に近づいて来ている。張り裂けそうなくらいに心臓が動いている。今までで、こんなに心臓の音がうるさいと思ったことはなかった。 震える手で携帯を取り出した。 AM 1:00 やっと一時間が経った。 外が明るくなるまで、あと、5時間30分もある。 この恐怖が、こんなにも長く続くのかと思うと気が遠くなった。 そして、ついにレジカウンターの目の前まで奴が来ていた。 俺が隠れている場所は右と左に逃げ道がある。 俺は何かないかと見渡していた。そうしたら、ハンガーを見つけた。 「これだ!!」 と思い、ハンガーを握り、左側の通路目掛けて、おもいきり投げた。 「ガシャン!!カラン!」 ハンガーが壁に当たり壊れた。その瞬間……… 「ザッ…ザッ…オォォ…」 ハンガーの方に奴が歩き始めた。 俺は運動には自信があった。狙いを定めてタイミングよく俺はスタートを切った。 「イタァ……」 俺は後ろを振り返らずダッシュで店をあとにした。 ありがたいことに奴は鈍足だった。 俺は四階に逃げることにした。
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