四足族と八足族

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四足族と八足族

この洞窟……出口はどこだ?帰り道が分からず、またあの戦の間とやらに来てしまった。一人と一匹が立ちつくす。ふいに猫の耳がピクッと動く。と同時にタイトは気配を最初にここに訪れた時の角度から考えて右側の赤い壁穴から感じた。ネズミ達よりは若干軽装備だが足が八本あり、器用に一番後ろの二本で立っている………クモだ。やたらデカい!森にいた手のひらサイズとは比べものにならない。そうこうクモ観察をしているとそのクモが何かこちらに言っているのに気がついた。「お前らヨソモノだろ?早くここから離れないと戦に巻き込まれるぞ。」もう戦が始まる?そうか、洞窟をさ迷っているうちに1日が過ぎてしまっていたんだ。ぞろぞろと左側の緑色のあわゆる穴からネズミが、右側の赤色の穴からはクモが出てきた。戦の間に両チームが集まるやいなや開始の雄叫びとともにまずはネズミ達がクモ達に突っ込んでいった。タイトと猫はひとまず緑色のネズミ側の端に逃げておく。激しく武器と武器とがぶつかり合う音と叫び声………壮絶だ。突っ込んだネズミ達の数は一気に減り、勢いはおとろえ、ついに最後の一匹が息絶えた。すると今度はクモ達が待機していたネズミ達に突っ込んでいった………。一つ気がついた。壁や床の色違いのわけだ!こんな闘い方ををするから突っ込んでいって息絶えた者達の血が壁や床に染み付き、そこからは長年の戦の月日を改めて感じさせた。戦力は同じだ。両チームのボスは一番後ろに待機している。どうやらボスが負けたらそのチームの負けってことみたいだ。 闘いは続く。見ていると悲しくなってきた。手おいの者は仲間に助けられる訳ではなくむしろ死兵のように扱われ、はたから見ると相手の数を減らすためにボスは兵を引き連れているように見える。ふと闘いの様子がよく見える……こっちに闘いの群れが近づいてきた!とうとう戦に巻き込まれる。ただひたすら相手の数を減らすために無我夢中にやい刃を振るうネズミ達とクモ達はタイトと猫にも容赦なく切りつけてくる。猫は風を使い見事な身のこなしでかわしているが、余裕のない顔だ。しのぎつづけるのも限界だ……そう思ったとき猫の背に刃がまっすぐ向かっているのが見えた!タイトは猫を押し倒す。刃が逃れそびれたタイトの肩の肉を削った。血の量がハンパじゃない。
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