旅人の目的

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
タイトは即席で作った野宿用小枝と葉のベットから飛び起き、すぐ近くにあった木を慣れた身のこなしでスルスルっと登ると朝日を浴び風を体いっぱいに感じた。しばらくしてから近くにいると思い、辺りを見わたす。ふと上から黒い固まりが頭にドサッとのし掛かってきた。こいつは風を生み出してはそれを操り、空を飛ぶ何とも不思議な猫だ。現実的に言うと百年生きた猫は不思議な力を得、猫またになるというが、触れれるし妖怪といったタグイでなさそうだ。曖昧なものでもいい、この猫に出会えたのが旅のキッカケであり、今この一匹と歩む一日一日がなぜか飽きない。 この世界には未だに謎でただ山々が…とてつもなく広くでかい山がチラホラしていてどういう仕組み?になっているかわからず、どんな生き物がいるかもさだかではないが、とりあえず朝昼晩はあるらしい。生まれも歳も分からないタイトにとっては旅だけが唯一の生きる目的であり、「この世界で生きる=旅」なのである。 風と共にタイトのかたわらにスッと来ると、猫はその蒼い瞳で何かをうったえてきた。タイトはそれを「腹がへったから何か食おうよ」っと解釈し、自分も腹がへっていたのですぐに「賛成」とうなずくと木から降り始めた。タイト達は朝昼晩の三食という規定はなく、腹がへれば何か食うということにし、最後に食べたのは二日前の木の実と川魚であったため、いっそう食べ物探しにいそしんだ。結局今回も魚と実であるが、かなりの収穫であり腹は満たされた。こうしてまた昼がきて夜がき、また朝と日々が過ぎてゆく。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!