ストーカー

2/8
前へ
/107ページ
次へ
チロチロチロ🎵 メールの着音が鳴る。 (またあいつ…?) 今開いた携帯をまた閉じて、理恵は溜め息をついた。   佑樹とは去年の夏、別れた。 嘘吐き、暴力、酷い男。 さんざん嫌な思いをした、その男からのメールを、うっとおしいと思った。 理恵は躊躇いながらもう一度携帯を開いて、メールを読んだ。 『理恵、殺してやる、お前だけ幸せにさせるわけに行かない』 背筋がぎゅっと寒くなり、携帯を床に投げた。   (どこまで馬鹿な男なんだろう。)理恵は思った。 本当についてない。 (この男とは出会い系サイトで知り合ったんだっけ…。)   結婚生活とは名ばかりで夫は冷たく寂しかった。 出会い系サイトに名前を載せたら、沢山のメールが届いた。何人かとメールを交換した。何人かと気があって、その中の一人が佑樹だった。 佑樹ははじめてのメールで『お姉さん、色々教えて下さい。』と言った。 理恵は(可愛い)と思った。 自分より凄く年下のこの男が、その時の理恵の心をくすぐった。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1264人が本棚に入れています
本棚に追加