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あれは真夜中のことだった。
俺は厨房の掃除のせいで、
いつもよりかなり遅く
マンションに戻った。
俺は重度の拒食症。
中学生のとき、
いろいろな精神的苦痛から
ひどい胃潰瘍になって
それから何も食べられなく
なってしまったんだ。
歯で噛んで、口内の唾液と
混じり合ったモノが喉を通って
胃に入って行くことが
気持ち悪くてしょうがない。
そう感じるようになった。
そして食べることを忘れた。
だから、それ以来俺は
すぐ寝ることにしている。
用事もなく起きていると、
限りのない空腹による腹痛と
頭痛に襲われてしまうから。
それに必要最低限の
栄養補給のための錠剤は
いつまで経っても
好きにはなれないんだ。
だから残業もなるべく避けてた。でもその日だけは違った。
俺は先輩パティシエの
手伝いのために深夜まで
残業をしてしまったんだ。
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