傍にいるから...

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「(あー…たるい)」 今は午後の世界史の授業中。 開始5分足らずで。 意味分かんねぇ人物がずらずら出てきて、早くもお手上げ。 つまらないし、やる気もないし。 ………ふと窓に顔を向けた。 窓際の一番後ろである俺の席。 冬にしちゃ空が青く、ぽかぽか陽気で暖かい。 「(お昼寝日和だなぁ)」 そう思って中庭に目をやる。 「(あれは…雪?)」 中庭にいたのは俺の想い人である雪菜だった。 高校の入学式から仲良くなって、それから好きになったんだけど…………まだ想いは伝えてない。 「(今は授業中なのに……なにしてんだろ?)」 暫く考えていると雪菜が俺に気付いた。 ……どことなくしょんぼりしているみたいに見えて。 ---ブー、ブー、ブー… 携帯が震え、開くと【メール一件】の文字。 メールの相手は雪菜。 内容は簡単に一行だけ。 【会いたい】 俺は携帯を閉じた。 「…せんせぇー!腹痛いから保健室に行ってきまぁす!」 「え、おい!青山!」 先生は直ぐに足止めに入ったけど、するりと抜けて教室を出た。 目指すは想い人。 next...
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