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そして 私はある日を境に同じ夢を見始めた。 夫がいなくなってから6年になる。 夢は 薄暗い部屋の中で知らない男に追われる夢・・・ そんな 夢が何日も何日も続く。 そして、最近 娘はふさぎがちで 部屋にこもって一人で絵を書いている。 私はというと、毎日 夫の帰りを 窓から外を見て待っていた。 そんな ある日 娘の部屋からドタドタと物音が聞こえる。 私は 急いで娘の部屋に向かった。 すると、娘は 部屋を楽しそうに走っている。 「何をしているの?」娘に聞いた 「ジェン君と鬼ごっこ」 娘は笑顔で そう答えた。 この部屋には娘意外には誰もいない・・・ 私は不安気に聞いた 「その子はどこにいるの?」 娘は 「ジェンのお父さんに呼ばれていなくなった」 っと 言ってベッドに潜りこんだ。 部屋には娘が書いた絵がちらばっている その絵には私と娘が書かれているもの、娘と男の子があそんでいる絵。そして、私と娘の胸にナイフの様なものが刺さっている絵があった。 私は娘が 私にかまってもらえなかったから気を引こうとしてやっていると思った。 そして 私はいつものように 窓から外を眺めた。 それから数日がたったある夜。 トントントンっと足音が聞こえた。 夫が帰って来たのか?っと思い、廊下へ飛び出した。 誰もいない・・・ が 足音は続いていた。 私は 娘の部屋に走った。娘は スヤスヤと眠っている。 足音はやんでいて 静寂があたりを包む。 疲れているのだろう。その時は そう思って部屋へと戻った。
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