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そして、次の日の夜もあの老婆が現れた。
娘が なかなか寝つかないので、子守り歌を歌っているときである。
「あなたは、あなたに起きた事実に目を向けなければなりませんよ」
老婆の後ろに、若い夫婦と小さい子どもがボンヤリと見えた。
「いい加減にして!!早く どこかに行ってよ!!」
「その子のためにも気づきなさい・・・あなた達は死んでいるのよ・・・」
私は唖然とした。
「え?」
「この家で惨殺事件があったの。若い男が金銭目当てで母と子を殺害した。」
「うそよ・・・」
「その母と子には、戦地へ向かった夫がいる」
「・・・」
「そして、あなたは全てから目を背け続けてきたのよ。さぁ 現実と向き合うなら今しかないのよ!!」
「いや・・・ここは私たち夫婦の家よ」
「・・・ちがうわ。ここには新しく若い夫婦と子どもが住んでいるのよ。もう あなたの家ではないわ。」
「ちがう・・・。わたしは・・・・」
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