境界線

私は胸の苦しみと共に倒れこんだ。

・・・

頭の中を過去の映像が流れる。
男に追われ、娘をかばって身をていして守ろうとしたが、胸を刺され、倒れこみ 虚ろな目で男が娘も・・・
「そっか・・・ホントに私は・・・」
私は全部思い出した。胸の中で固く閉じていた物が ゆっくりと開いた。

あの 老婆の言っていたことは事実だった。
私は 自分と娘の死と、夫にもう逢えない無念が あの世に行けない未練として、このようなことになったのだ。
「けど・・・私はまちつづけるわ、じゃまをするのなら」
私は老婆の首に両手をかけた。