1章~二人の出会い~

2/7
前へ
/84ページ
次へ
ファルスという町のそばに、小さな森があった。その森には……一匹の白い狼が住みついていた。町の人々は、よく森に来ては、その姿を見ていた。 だがそれは……遠目でのこと。近くであの白い狼の姿を見た者はいなかった。     森の奥地にひらけた場所があった。そこには大きな湖があり、その近くに太くて大きなはえていて、そばに一軒のログハウスが建っていた。 そのログハウスのそばに、一匹の白い狼がまるくなっていた。気持ちよさそうにすやすやとねむっている……。  ガサッ…。 遠くからの小さな物音で白い狼は目を覚まし、そばの木に軽がると登り、木のてっぺんから遠くの方に目をこらした。  ガサッ、ガサッ…。 遠くの茂みがかすかにうごめいていた。それはどんどん、この湖の方に近づいてくる。 白い狼は険しい顔をして……口をきいた。 「……また、我を狩ろうとする者が現れたのか?いや……町の者か……?」  ガサッ、ガサカザッ…。 茂みが近くで動きはじめたのを見て、白い狼は警戒を強め、木からおりた。  ガサッ…。 茂みの中から現われたのは――。 青い髪をもった、一人の少女だった。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加