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「何してるんだ?」
突然聞こえた声に、寒さに関係なく僕の体が固まった。
「おい、聞いてるか?」
声のした方をゆっくりと見る。
そこには大学生くらいの、男。
少し離れたところから声をかけてきたようだが、僕の視線を感じたのか僕の正面まで歩いて、止まった。
「ぁ………」
寒さと緊張で固まった口は、上擦った声しか発しなかった。
それが何となく気まずくて、目線をそらし微かに開いた口を閉じる。
男はそんな僕の様子を見て怯えていると思ったらしく、柔らかく微笑みながら、ストンと腰を落として目線を僕と同じ高さにした。
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