第2章 フォビア

3/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
時々アパートに出入りしている知らないおじさんは誰だろう?当然、父親という存在では無いことは分かっていた。しかし、男の子の年齢が3.5歳、4歳、4.5歳、5歳と成長するにつれ次々と代わっていく知らないおじさんが、母とどんな関係なのか、幼心に感じ取るようになっていた。男の子は母を取られてしまっている様で、知らないおじさん達には笑顔を見せたことがなかった。 幼稚園に入った頃だった。親子遠足や親子リレーが辛かった男の子、はなんとなく分かってはいたが母に尋ねた。 「ねぇ、なんでお父さんいないの?」 男の子は、母が何も答えてはくれない事に慣れているわけではなかった。横になって肘をついて頭を支える体勢でテレビを見ている母はピクリとも動かない。 もう一度、 「ねぇ、お母さん」 それでも変わらぬ状態の母に腹を立てた男の子は、靴を履き家出した。 小さく大きな犯行のいくあてなどなく金も頭もない、行き着いた場所は、小学校だった。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!