第2章 フォビア

5/5
前へ
/7ページ
次へ
男の子は小学生になった頃から夜寝ていて、突然飛び起きて暴れ回ったり、意味不明な言葉で喚き散らしたり、壁や床に体をこすりつけるといった奇妙な行動、夜ボケを繰り返すようになった。 おそらくこれは夢遊病と言われる精神病の一種だろう。この病気は6歳から12歳まで続いた。 男の子本人は夜ボケしている最中の事をかすかに覚えていたり、全く覚えていなかったりしていたのだが、ただ一つだけ確実に覚えている事があった。 夢遊病の症状が出る時は必ず夢を見るのだ。 《アルプスの草原のような景色に建つ、赤い屋根の家の裏にある赤い屋根の犬小屋》 《七色に光る10円玉》 《真っ黒な空間に浮かぶ2本の鉄柱》 《真っ白な空間で絡み合う1本の糸》 この4つのどれかを、必ず見るのだ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加