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3~ランチ~
加奈子は、仕事の時と違いよく喋る子だった。
「先輩と話したいなーと前から思っていたんです!」
…ずっと笑っていて顔がくたびれないのだろうか…?
無邪気で屈託の無い笑顔。可愛いものである。
「先輩は彼氏いるんですか?」
…そしてストレートである。
「学生時代から付き合っている彼氏がいるわよ。」
加奈子は目をキラキラさせながら、やっぱり!と嬉しそうにしている。
「じゃあ先輩はゴールデンウイークも楽しみですね!私なんて彼氏居ないので寂しいものです…!」
実に表情がくるくると変わる子だ。やはり私とは顔の筋肉のつくりの一つも違うのかしら…
「あら。私も寂しいものよ。彼は検察庁の検察官なんだけど、今度の週末は忙しいとかって。仕事柄か、どうして忙しいのかは、詳しくは教えてくれないんだけどね。」
加奈子が目を輝かせながら食いつく。
「えー!じゃあ先輩もあんまり予定入れてなかったりするんですか?勿体ない…!って、私も無駄に過ごしそうですけど…」
二人で苦笑いをした。
この子は不思議だ。
話す相手の気分を盛り上がらせたり、硬い気持ちをほぐすのが得意なようだ。
昔から知っている近所の年下の子みたいな雰囲気を醸し出す。
職場だけでなく、個人的な領域に居ても全く不快ではないだろうと感じた。
「先輩ー!そしたら是非彼氏さんのお友達とか紹介して、私にステキな出会いを下さいね☆ゴールデンウイーク、いつでも空けてお待ちしていますから!」
…そして実にしっかりものだ。
「わざわざ空けてじゃなくて、最初から空いちゃってるんでしょ!」
アハハハと二人で笑った。
ほっこりと、新鮮な気持ちになれたランチだった。
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