5~歴史~

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5~歴史~

私が勇と付き合い出したのは、大学二年の時。 私は保土ヶ谷にある大学へ通うのは苦ではなかったため、そのまま実家がある小田原に住んでいた。 勇は東大生で、通うのが大変だからと文京区の茗荷谷に一人暮らしをしていた。 私は、授業とアルバイトの合間を縫っては遊びにいった。 私は勇の大学の授業にこっそり潜り込むのが好きだった。 勇の隣で、涼しい顔をして一緒に授業を受ける。 勇のいつもと違う顔を見られるのが嬉しかった。 授業の後二人で安田講堂の前の芝生に並んで座り、ソフトクリームを食べるのが好きだった。地下の学食で、いつもブルーベリーヨーグルト味を選んだ。 食券を渡すとコーンを手渡され、自分でソフトクリームを作る。 最初は下手だったが、段々と上手になっていた。 勇はいつも私のソフトクリームを一口食べるだけで、たくさんは食べなかった。 甘いものは苦手なんだ、といつも言っている。 私は甘いものは好きだが、甘すぎるものは苦手だ。 よく考えると、勇もあまり甘すぎない。 なんていうか、ベタつかしないし、あっても適度な甘さしか持ち合わせない。 ダメなものはダメと、しっかり言える人だ。それに嫌な事があってもあまり感情的にならないし、沈着冷静でクールだ。 検察官という仕事も、実に似合っているように感じる。 そんな勇と居ると、私はいつも一緒に落ち着いていられて、とても心地良いのだ。 楽しいとかウキウキというものを卓越した、静かで安らかなこの心地よい感じ。 勇とは、結婚して歳をとっておじいちゃんとおばあちゃんになっても、良い関係が続けられそうな気がする。 「瑠璃。」 そんな風にぼんやりと考え事をしていたら、勇にキッチンに呼ばれた。
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