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7~英恵~
全くもってサイアクな週末だ。
会社でも割と女好きと有名な鹿島さんと、木曜に別れた。ううん、別れさせられた。
なんだったって、木曜なのよ。せめて金曜なら、仕事にあんなに集中出来なくなるなんて事、無かったはずなのに…!
二年前、仕事で失敗して落ち込んでる所に優しくされて、仕事帰りに二人で飲みにいって、コロッとなってそのままお泊りしちゃった私も悪いのかもだけどさ。
それから今までずっと付き合ってきていたのに、今更奥さんにバレたからって、あっさり掌返し過ぎだよ。何がいつか離婚するよ。
大体旦那の携帯を盗み見るなんて、悪趣味な奥さん!ふん。
30代のオトコなんて、浮気の一つや二つある位、モテる方がいいのにねっ。
…あぁ、負け犬の遠吠えだわ。
そんな所に、同じ課の加奈子ちゃんが、隣の課の瑠璃ちゃん主催のコンパの話を持ってきてくれた。
ゴールデンウイーク、恨みつらみを腹にためたまま悶々と過ごすなんてまっぴらごめん!
助かるなぁ。
えぇい、次こそイイオトコ捕まえるんだからっ。
『ひとりでは~♪』
ああっ、ビックリした、ケータイの着うただわ。
ひとりの私に、誰が何の用かしら。
「先輩、こんばんは。」
「あぁ瑠璃ちゃん!」
コンパの詳細連絡だった。
「えっ!旅行?」
「はい、悪い人達ではないので…先輩が嫌でなければ…」
「あぁ、どうせ暇しかないから、逆にすっごく楽しみなんだけど!軽井沢ならアウトレットとか行きたいしー♪」
「本当ですか!では、宜しくお願いします。」
「いいえこちらこそ!あっ、もしかして瑠璃ちゃんの彼氏も見れる~?ふふふっ。」
「いえ、彼は来れないんです。でも彼と仲良い人達とだからと、まさかのお許しが出ちゃいまして。大体幹事が欠席とはいかないだろ、って律儀な事言うんですよ~。」
「彼氏に信用されてるって事よ!何はともあれ、ありがとう。楽しみにしてるわね!」
「はい、おやすみなさい。」
電話を切った。さっきの遠吠えなんて忘れてしまう位、何故か気分がスッキリしていた。
暇を持て余す事なく、しかも楽しく過ごせそうだ。
私ったら案外単純だったのね……。
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