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朝だ。
脳がそう告げた。……理解できた。だが、体の大部分がまだ睡眠を要求している。
二度寝したら確実に遅刻するぞ。
分かっている。遅刻したら担任に怒られる。生活態度の評価を下げられる。分かっているけど、起き上がる気力も力も出てこない。朝強敵過ぎる。負けるな自分!気合いだ自分!俺はやればできる子だー!いくぞー!1、2、3━━。
「のぁらあああああああ!!」
間の抜けた咆哮が小さな部屋に響き渡った。ベッドの中で暫くもがいたり背伸びをしたりして、ようやく『藤 清彦』は起き上がった。成績、運動神経、ルックスは全て普通。親友曰く「いい奴だが八方美人で無駄に敵を作るタイプ」らしい。
清彦は両親と一緒に暮らしてはいない。だが、他人が思うほど自分の生活を特殊だとは思っていない。眠たそうに目を擦りながらテレビのリモコンを探す。テレビをつけても特に見ることもないのだが、それが習慣になっていた。インスタントコーヒーを飲むとやっと目が覚めてきたようだ。ふとテレビに目をやると七時半を過ぎていた。それを見るやいなや、急いで服を着替えだした。
バス停でバスを待っていると後ろから声がかかった。
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