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清彦と弘は昼休みに屋上にいた。二人は売店で買ったパンを食べていた。他に生徒は誰もおらず静かな場所だ。
「……この星は寛大だと思わないか?」
ふと牛乳パック片手に弘がつぶやいた。弘は突拍子もなく変な質問を清彦にする。何のためにしているのかは分からないが、よくあるイベントので清彦は気にしなくなっていた。
「寛大?」
「人間にこんなにも命を削られているのに、沈黙したままだ」
「人間に興味がないだけじゃないか?むしろ生命じゃないし」
「そこらの石とこの星は同じ非生命体ってことか?」
「そういうことになるな。ガイア論はフィクションの中だけの話さ」
清彦は弘のどんなに変わった質問も真面目に答えた。
「……なるほど」
弘は別に異論をぶつけてこない。清彦の考えをただ聞いているだけだった。自分の中でどう結論つけたかも言わないが、清彦も特に深く聞かなかった。
「見つけたぞ弘!!」
屋上に声が響き渡った。
「やばいな」
「俺は関係ない」
声だけで接近する人間が識別できた。放送コードに引っ掛かりそうなくらい恐ろしい形相で『犬飼 珠緒』が二人に近づいてきた。正確には弘にだが。嫌なオーラ出てる。
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