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「たまちゃんは先輩ラブだからな」
「それだけか?妙にすっきりして帰っていったぞ」
近年稀にみる暴力女ではあった。合気道を小さい頃から習っているが、グーパンチは独学のようだ。だが、見掛けは可愛くて男女からモテている。
二人はすぐに屋上から降りることにした。
「つーかなんでアイツに殴られにゃならんのだ。先輩に殴られるのは仕方ないと思うが」
「もう何も言うな。お前が全て悪い」
階段を降りて廊下の角を曲がった。ぶつかる音。弘のうめき声。後頭部を床に打ち付けて倒れた女子生徒。清彦は一瞬の出来事を理解するのに時間がかかった。だが、倒れこんで動かない女子生徒の意識の確認が何よりも先だと判断した。
「だ、大丈夫か!?」
反応はない。
「レバーがぁ」
弘は大丈夫そうだ。清彦は女子生徒を抱えてダッシュで保健室に向かった。腹を押さえて悶えている弘はとりあえずほっとくことにした。鈍い音が頭の中に何度も響く。やばいやばいやばいやばい。なんでいつもアイツは奇跡的なトラブルを起こすんだ。
保健室に入り清彦を見た先生は驚いていた。
「どうしたの!?」
「ぶつかって頭ぶつけて倒れて返事がないです!!」
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