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「はぁ?」
考えて言葉にするより口に出す方が早かった。保健室の先生は清彦の言葉を理解するのに苦労した。
「……あの━━」
胸元から声が聞こえた。
「なんだよ!今話しかけるな!」
「……ごめんなさい」
声の主は萎縮した。保健室の先生は状況を理解したようだが。
「……ぁれ?」
声の主が今抱えている女子生徒だとやっと気づいた。
「彼女は大丈夫みたいだからとりあえず降ろしてあげたら?」
「で、ですよねー」
すぐに治療が行われた。女子生徒の名前は『望月 茜』。同じ1年生だ。後頭部を床に打ち付けたせいで大きなたんこぶができていたらしい。意識もはっきりしているし、すぐに病院に搬送とまでは至らないようだ。
「俺めちゃくちゃ焦りましたよ」
頭に流れるている記憶は火サスなみの映像だった。でも、とりあえずはホッとできた。
「まー体が小さいし体重も軽いからねぇ」
保健室の先生は落ち着いていた。
「赤ちゃんもよく転びますよね」
清彦は言った後に失言に後悔した。ベッドで寝ている茜が無言で清彦を見つめている。その視線に気づいてしまった。赤ちゃんはまずかったな。幼女にしとけばよかったか。
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