忌み嫌われし黒き猫

2/12
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
週末だけあってか街の大通りは多くの人々で活気づいていた。 買い物をする者、恋人と愛を確かめ合う者、道行く人に声をかけ売り物をする者。 それらひとりひとりの目的は当然違うのであろうが その目的、そして話し声は絡み合い週末の街並みに活気を作っている。 そんな活気づいた大通りを1匹の黒猫が歩いていた。 全身黒づくめのどこにでもいるような黒猫…、だがその全身はどういうわけか汚れと傷でいっぱいだった。野良であるその猫は今日食べるエサでもこの大通りに探しに来たのか鼻をクンクンと愛らしくひくつかせている。 そんな黒猫に大通りを歩いていたとある若者が目をやった。 その若者は目をやった相手が傷だらけの黒猫だとわかると哀れみをこめた眼差しを送った…、わけではなく憎しみを込めた眼差を向け、まるで街全体に聞こえるような大きな声で、「黒猫が来たぞぉー!!。厄病神だ~!悪魔の使者だ~!。」 と口々にこう叫んだ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!