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―‐ガラガラガラ…
朝のお決まりの音。
僕達ぬいぐるみの目覚ましのようなもんだ。
シャッターが開いた。
今日も僕らは"誰に買われていくか"とゆう最大の悩みと戦いを始める…。
僕らを管理する人間、いわゆる店長が店に入ってきた…。
― 栗田 信二 (50) 独身
この店の主。
僕らが住むこの店は、テディベアを主にしたぬいぐるみ専門店だ。
僕が"商品"としてここにきた頃からズットそうだ。
太く度がきつそうなふちメガネをかけ、ふさふさと黒いヒゲをはやした…一見どこにでもいるオジサンだ。
いつもレジの前でタバコを吹かしながら、少ない客を待っているマイペースな人。
だけど、僕らを変な目的で買っていこうとする奴らにわまるで鬼のように人相を変えて追い返す…。
抵抗もできない僕らにとっては唯一の救いだ。
普段は温厚で、僕らを優しく扱ってくれる。
多分、人一倍、ぬいぐるみに対する思いいれが強いのだろう…。
そんなオジサン…主を、少なくとも僕は気にいっている。
プルルルルル―……
プルルルルル―…
突然、店の古い電話が軋むように鳴った。
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