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『はい。ベアズSHOPモンブランです。』
栗田のオジサン…主が朝に似合わない渋い声で電話にでる。
てか、モンブランて。
明らか名字イジって付けたな。
ネーミングセンスねぇなあ…
トカ思いながら僕は、開店と共に見える朝の静かな景色をいつものようにぼーっと見ていた。
自転車で白い息を吐きながら急ぐ学生。
スーツにマフラーを巻いて駅へ向かうサラリーマン。
人間はあまり好かないけど、観察するのはなかなか面白い。
そうこうしていると、主が電話を終えたようだ…。
『わかりました。ありがとうございます。でわ…』
ガチャ―…
―…?
何を話していたんだろう?
だけど、話し方によると客なのは確かだ。
主は電話を置くと立ち上がり、重い足を引きずりながら、僕らに近づいてくる。
"今日は誰が買われていくんだろう…"
"どんな奴に、どんな目に合うんだろう…"
他の仲間も考えてる事は同じだろう…。
主は僕らがいる、ショーウインドゥの方にやってきた…。
誰?誰なんだ?
近くにいる仲間達と胸をドクドクさせて、ショーウインドゥの窓越しに主の様子を見る…。
『ふぅ―…』
主はどことなく微笑みながら…
その視線は僕を見た…。
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