混血者(ダンピール)の異変

13/15
前へ
/511ページ
次へ
― ルーファ…! 今何処にいるんです…!? ルーファが不在である事に不安を抱えたまま、薔薇は執務室周辺を調査をする事にした。 「…?」 ふと何かに気が付き、デスクの下を探ると、黒い羽根が落ちていた。 薔薇は羽根を拾い、不思議そうに眺めた。 ― この羽根…。大総統の気配とは違う…。 翳して見ると、ある事に気付く。 羽根の中央あたりに、何かがこびりついていた。 「これは…?」 よく見てみると、こびりついていたものの正体が明らかになった。 「ルシェンネ!!」 薔薇は廊下を調査していたルシェンネの元に駆け付けた。 「何か分かった!?」 「これです!」 薔薇は先程の羽根を見せる。 「羽根…?」 「この羽根からは、大総統のものではない気配がします。それに犯人が特定できないよう、魔力でカモフラージュされてます。そしてこの羽根には、大総統の血が付着している」 「じゃあ、それが…!」 「恐らく、犯人の手掛かりです」 薔薇とルシェンネは、調査隊の元へ急ぐ。 外へと出ると、先程まで晴れ渡っていた空は薄暗くなっていた。 「嫌な予感がする空ね…!」 「急ぎましょう!」 走り出した刹那だった。 「そんなに急いで何処へ行く?」   聞き覚えのある声が聞こえ、薔薇は思わず足を止める。 見上げると、不在だった筈のルーファの姿があった。 「ルーファ!」 「アンタ、この緊急事態に何処行ってたのよ!?」 「少し野暮用でな。それより、何か大変な事でも起きたのか?」 「大総統が殺害されたんです! 誰の手によってかは、まだ分からなくて…!」 「ああ、その事か。知っている」 ルーファの態度に、何処か違和感を感じる。 いつもは正義感が強く、不測の事態でも冷静に応じているのだが、何かがおかしく感じる。 「何か知っているんですか!?」 「なぁ、薔薇。1つお願いがあるんだ」 「お願い…?」 「ああ…。お前の魔力全てを、俺に受け渡せ!!」 ルーファの羽根が薔薇達目掛け、槍の如く降り注がせ、襲いかかってきた。
/511ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6913人が本棚に入れています
本棚に追加