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― ルーファ…! 今何処にいるんです…!?
ルーファが不在である事に不安を抱えたまま、薔薇は執務室周辺を調査をする事にした。
「…?」
ふと何かに気が付き、デスクの下を探ると、黒い羽根が落ちていた。
薔薇は羽根を拾い、不思議そうに眺めた。
― この羽根…。大総統の気配とは違う…。
翳して見ると、ある事に気付く。
羽根の中央あたりに、何かがこびりついていた。
「これは…?」
よく見てみると、こびりついていたものの正体が明らかになった。
「ルシェンネ!!」
薔薇は廊下を調査していたルシェンネの元に駆け付けた。
「何か分かった!?」
「これです!」
薔薇は先程の羽根を見せる。
「羽根…?」
「この羽根からは、大総統のものではない気配がします。それに犯人が特定できないよう、魔力でカモフラージュされてます。そしてこの羽根には、大総統の血が付着している」
「じゃあ、それが…!」
「恐らく、犯人の手掛かりです」
薔薇とルシェンネは、調査隊の元へ急ぐ。
外へと出ると、先程まで晴れ渡っていた空は薄暗くなっていた。
「嫌な予感がする空ね…!」
「急ぎましょう!」
走り出した刹那だった。
「そんなに急いで何処へ行く?」
聞き覚えのある声が聞こえ、薔薇は思わず足を止める。
見上げると、不在だった筈のルーファの姿があった。
「ルーファ!」
「アンタ、この緊急事態に何処行ってたのよ!?」
「少し野暮用でな。それより、何か大変な事でも起きたのか?」
「大総統が殺害されたんです! 誰の手によってかは、まだ分からなくて…!」
「ああ、その事か。知っている」
ルーファの態度に、何処か違和感を感じる。
いつもは正義感が強く、不測の事態でも冷静に応じているのだが、何かがおかしく感じる。
「何か知っているんですか!?」
「なぁ、薔薇。1つお願いがあるんだ」
「お願い…?」
「ああ…。お前の魔力全てを、俺に受け渡せ!!」
ルーファの羽根が薔薇達目掛け、槍の如く降り注がせ、襲いかかってきた。
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