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浮かない顔のまま翌日を迎えた薔薇は、昨日から見当たらないルーファを捜していた。
「ルーファ…?」
部屋を尋ねても姿がない。
誰かに聞いても知らないと答える者が殆どだった。
「何処に行ったんでしょう…」
「マリ、いや、薔薇様!!」
「………」
駆け付けて来た1人の使用人が薔薇を呼ぶが、薔薇は振り向かない。
「そ・う・び・さ・ま!!!」
「うわ!!」
流石に耳元で叫ばれたら、嫌でも気付いた。
「な、何ですか!?」
「すみません。さっきからお呼びしてるのに、気付かれないものですから」
「あ…、すみません…。まだ自分にしっくりきてないようで…」
「いえ、そんな事はいいんですっ! た、大変な事が起きたんです! 【薔薇十字団】の大総統が…!!」
使用人の知らせを聞いた薔薇は、早急に【薔薇十字団】の本部へと飛んできた。
「ルシェンネ!!」
「薔薇!!」
「何が起こってるんですか?」
「…見た方が早いわ」
ルシェンネは薔薇を連れ、大総統の執務室へ向かう。
大総統の間に近付く度、異臭が鼻を突き、薔薇は思わず腕で鼻を覆う。
「この匂いは…、まさか…!」
ルシェンネが執務室の扉を開く。
扉の向こうの光景を見た途端、薔薇の顔が凍り付いた。
「大…総統…!?」
【薔薇十字団】の大総統が、椅子に座ったまま、剣で胸を貫かれ、椅子と縫い付けられるように死んでいた。
「誰が、こんな事を…!?」
「捜索部隊が調査しているけど、まだ分かっていないわ…」
「ルーファさえいてくれれば…!」
「ルーファ? 彼がどうしたの?」
「今朝から見当たらないんです…」
「こんな時に何処に行ってんの、あの馬鹿!」
「とりあえず、大総統を殺害した犯人の手掛かりを捜しましょう」
「そうね。ルーファは後にして、こっちを優先しましょう」
薔薇とルシェンネは二手に別れ、各々調査に出向かった。
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