想像

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真っ白い空間の中で、少年は手にした鉛筆で線を描く。 まっすぐな線、まがった線をかき、顔、衣服、髪をつけ加えていく。 「…できた」 少年は鼻息を荒くし、納得したようにつぶやいた。 描かれた魔女は手にほうきを持ち、黒く塗りつぶされたローブを着ている、髪の長い女性だ。 今はデザインを描くことしかできない。 実体化させるには、卵か、その他のものが必要だった。 「…卵ができるまで、寝てようかな♪」 少年は地面に倒れ込むと、そのまま目を閉じて眠った。 ざぁぁあ… 大雨の降る音が聞こえた。 「…」 少年は目を覚ますと、上半身だけを起こした。 体の節々が痛い。ずいぶん眠りについていたようだ。 今は太陽がでているだろうな。と少年は思う。 眠りについたのは夜だった。 10何時間も自分が寝れないことは知っている。 少年は外にでると、降りかかってくる大粒のあめにたじろいだ。 「ぅあ」 両手でカバーして、視界を守る。 遠くは霧で白くぼやけていて、身の回りは雨が強すぎて認識しずらい。 少年は目に水が入らないよう、視界を守りながら、回って当たりを確かめた。 森の木々は大粒の雨と強風で木々が揺れている。 野原の芝は雨に埋もれて巨大な水たまりがあちこちにできている。 「…卵は?」 少年は森に入ろうとしたが、足を進めるのを辞めた。 ーめんどくさいかも。 そう思ったその時。 「卵をさがすのかい?」 空が少年に話しかけてきた。 「…そうしようと思ったんだ。けど、あの森の中はめんどくさそう」 少年は森を見て、空に言った。 「そうかい。卵が一つできてたみたいだけど…。 持ってきてあげるよ。」 空はそう言って、風で卵を転がし、少年の目の前に持ってきた。 「ありがとう!!」 少年は喜ぶ。 「どういたしまして。」 少年は卵を抱えるとさっそく家の中へ持ち込んだ。 そして、前にかいた魔女のデザイン画に大きな卵を投げつけて割った。
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