創造する者

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ピンクのきのこの創造は 消えないのだろうか。 少年は降りしきる大雨の中、 草原の真ん中で立って 考えていた。 ー創造主は僕なんだ。 創造主は僕なんだ。 少年は空っぽな頭で、 考えていた。 おばさんに干された布団が、 僕の後ろにある 僕の家のベランダで、 雨に打たれている。 僕は全身びしょぬれになっている。 森へ向かうことにした。 「卵はあるかな?」 僕は軽い足取りで、 森へ入る。 そのとき、 真っ白な葉っぱが一枚、 目の前をゆらゆらと、 低速度で落ちた。 僕は足元を見つめる。 そして、その白い葉っぱを じっと見つめた。 「こんにちは」 僕は目を真正面に戻す。 すると、 白い葉っぱを背負った女の人が 立っていた。 その女の人は、 白みの入った金髪に、 白いシンプルなワンピースを きている。 そして、その人は、 僕にむかって にこにこ微笑んでいた。 「こんにちは」 僕は笑って あいさつを返した。 「五時までに、 滝へいきたいんだけど、 滝はどこかな?」 その女の人は 道に迷っているようだった。 「…滝かあ~」 僕も知らなかった。 「一緒に探してあげるよ。」 僕は言った。 今は4時45分だ。 今、この森は、 木々が密集しているだけだ。 整備された道は、 まだない。 もちろん、 木々があるだけで、 滝もまだない。 僕は まず、木の棒をみつけた。 そして、それを土の上に縦に立てる。 そして、手を離す。 ぽてっと、 木の棒は倒れた。 右斜め前をむいている。 すると、 右斜め前の木々は 自分の根っこをぐねぐね動かし始める。 そして、歩いて、その棒の方角の道からどく。 そうやって、道が表れた。 木々は、そろいもそろって、 あくびをした。 眠かったみたいだ。
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