創造する者

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「ところで、滝ってなんなの?」 僕は女の人に聞くと、女の人は微笑んで答えた。 「…そうね。水が集まったものかしら。」 「…」 僕は行き止まりで、また木の棒を倒す。 そして道を作る。 足が痛くなった頃、僕はそろそろ滝を作ることにした。 「…水かぁ。お空さん」 僕は灰色のもくもくした空を見上げて、言う。 「なんだい?」 空が答えた。 「水を集めて、ここに流して欲しいんだ」 僕は僕の足元を指差した。 「わかったよ」 それまで降っていた雨が、角度を変えて僕の目の前に集中して流れてきた。 まるで大きな蛇口から出た、水道の水みたいだ。 「…あぁ。これよ。」女の人がにっこり笑って喜んだ。 「確かここに、お姉さんがいるはずなんだけど…」女の人は、きょろきょろあたりを探す。 僕の足元は、だんだん水で埋まってきた。 「いないの?」 「いないわねぇ」 女の人は顔を傾かせる。 「おかしいね。」 僕が呟く。 「滝はまだ、泉部分が完成してないから、泉ができれば、水の流れに乗って、お姉さんはくるよ。」 空が優しい口調で言う。 僕は滝をぼーと見ていた。 すると 「あなたがほしいのは、右の人?それとも、左の人?」 水がたまった泉で声がした。 髪の長い、白いワンピースをきた女の人が、右手にさっきの女の人を抱えて、左手に部屋にいた三角ずきんをかぶったおばさんを抱えていた。 僕は答える。 「右手の人はあなたの妹さんでしょ?左手の人はいらないよ。僕が創造したんじゃないもの。」 「あらあら…」 泉の上の女の人は呆れたように笑う。 「そう言えば右手の人は私の妹だわ。 僕、正直ね」 「その女の人はお姉さんを探していたよ。あえて良かったね。」僕は喜ぶ。 「左手の人がいらないなんて、酷いわ。」泉の女の人が言う。 「だって本当のことだもん。」僕は答えた。 「そう…。残念だわぁー 私のidea、きっと喜んでもらえると思ったのに。」 話しているうちに、泉は僕の胸上あたりまで溜まっていた。 「私のidea? お姉さんピンクのきのこと関係があるの?」 「ええ。私が創造主よ。」
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