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願いをかなえて
残念ながら子供は起きていた
最悪の事態が頭を過る
5、6歳くらいだろうか、少年は真っ直ぐに俺を見つめている。
「…こんばんは、ごめんね、起こしちゃったかな?」
何を思ったか口が動いていた
「サンタ…さん?」
赤いジャンパーがサンタにでも思えたのだろうか?
少年は少し驚きながら問いかけてくる
「…そうだよ、君にプレゼントを届けに来たんだ。」
できるだけ冷静に装う
「サンタさん、僕…プレゼントいらない…。」
少年は少しうつむいた
少年の言葉から沈黙の時間が生まれた
どうする…、プレゼントは外だからと言って逃げる作戦が失敗するとは…
俺の脳ミソは限界にきていた。
沈黙を破ったのは少年だった
「サンタさん、僕を殺して下さい」
少年はうつむき涙声で言った。
愕然とした
少年は間違いなくそう言った
5、6歳の少年が言うには20年早い
今俺がお願いしたいくらいだ。
「どうして…、そんなこと言うんだい?」
もう考えはなかった
ただ少年の言葉の真意を知りたい
「パパとママがいつも僕のことでケンカしてるから…、僕がいなければ…ケンカ…しなくて…」
少年の瞳から涙がこぼれた。
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