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入学式
桜の花がまばらにのこった4月5日
憂うつな気持ちでぼくは学校の門をくぐった。
本田浩一、高校一年生
新しい学校での生活が今日から始まろうとしていた。
『滑り止めに私立をひとつ受験しておいたら?
お母さん高校浪人の世話一年間もみたくないわよ』
保険をかけたつもりの滑り止め
第一志望に落ちるとは夢にも思わなかった僕は,だからまだ現実を受け止められずにいた。
高校浪人と言う四文字に怯んだぼくは、学校案内を調べ受験料が一番リーズナブルで、しかも入学金は公立校の合格発表後まで納付を待ってくれると書いてある良心的な配慮に、この学校を受験することにした。
ページを開き母親にも見せると明らかに視線は受験料、入学金納付の記述を追っていた。どうせ通うことにはならない学校だから…
掛け捨ての保険なら保険料は安ければ安いほどいい
だから校風はおろか大事な青春期の三年間を過ごすと言うのに…入試直前まで選んだ学校がこともあろうに男子校と言うことも知らないでいた…
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