序章

2/5
936人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
桜の匂いに紛れて、 生臭い、血の匂いがオレの周りに纏わり付く。 「灰、怪我でもしたのか?」 『灰(カイ)』 オレの仕事上の名前。 本当の名前は、疾うの昔に捨てた。 「…いや、こいつらの反り血だ。薙、オレがやられるとでも?」 薙(ナギ)。 オレの仕事仲間。 もちろん、こいつも偽名。 「まさか。俺だって傷一つ付けたことないのに。 でも、あんま派手にやると、その綺麗な顔に、汚いものがたくさん付くぜ」 そう言いながら、オレの顔に薙の指が触れる。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!