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桜の匂いに紛れて、
生臭い、血の匂いがオレの周りに纏わり付く。
「灰、怪我でもしたのか?」
『灰(カイ)』
オレの仕事上の名前。
本当の名前は、疾うの昔に捨てた。
「…いや、こいつらの反り血だ。薙、オレがやられるとでも?」
薙(ナギ)。
オレの仕事仲間。
もちろん、こいつも偽名。
「まさか。俺だって傷一つ付けたことないのに。
でも、あんま派手にやると、その綺麗な顔に、汚いものがたくさん付くぜ」
そう言いながら、オレの顔に薙の指が触れる。
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