序章

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「まぁ、そうだけどさ…。俺にぐらい愛想よくしたっていいだろ? 仕事仲間なんだし」 薙がわざとらしく拗ねて見せる。 「…気持ち悪い。そしてお前は愛想撒きすぎ」 常に微笑んでいる薙は、潜入捜査担当だ。 その笑顔と顔立ちの良さで、大体の人間は騙されてしまう。 そして、感情を持たないオレは、薙の資料をもとに始末しにいくのが仕事。 「今回のこれ、攘夷志士だろ。依頼主は幕府か?」 血の染み込んだ土に転がっている死体を、遠ざけるように軽く蹴る。 …あ、以外に重い 「まぁ、そんなところだね」 色素の薄い、茶色の瞳が映る。
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